映画「剣岳点の記」の感想

この映画は陸軍参謀本部陸地測量部の測量手柴崎芳太郎が地形図作成のため、日本で唯一未登頂であった剣岳の登頂を命じられ、登山する姿を描いている。原作は新田次郎。しかし、社会ドラマというよりも、登山映画という色合いが強い。半分近くが登山風景であり、剣岳周辺の美しい風景が随所に出てくる。これがこの映画の最大の見所である。

剱岳は北アルプスの立山連峰にある山で標高は2999メートル。近くの立山の方が3015メートルと高いが、登山の難易度は切り立った岩に囲まれた剣岳のほうが断然難しいようである。現在も剱岳の岩場は、谷川岳、穂高岳とともに日本三大岩場の一つに数えられている。

また、立山連山は修験と呼ばれる山岳信仰の対象であり、映画の中でも信仰登山する人や修験行者が登場する。その中で剱岳は「針の山」として恐れられ、登山すべき山でないと信仰されていたとのことで、測量隊の案内人である宇治長次郎の立場など登山を難しくしている背景の一つになっている。

明治時代の登山の難しさを描くため、山の遭難事故となるような事象、なだれ、落石、転落、暴風など一通り描かれている。かなりリアルに描かれており、登山の困難さを想像できる。それと、考えてみれば、人が近づかない山は道がないので、確かにルートを開拓するなど大変な気がする。当時、周辺を行き来していたのは案内人になる近くの村の人や行者だけである。登る気になればこの案内人などが一番実力がありそうである。

人間性については、測量部柴崎の夫婦愛、案内人宇治の親子愛、測量部生田の初登頂の思いなどが描かれている。

この映画のドラマ的要素として、丁度この頃、日本で山岳会が結成された時期で、山岳会の小島 烏水との初登頂との競争となることであるが、競争そのものが、ルートの発見という地味な作業のため、腹の探りあいというか静かな戦いである。それに測量部の柴崎はあくまでも登山の目的は測量という姿勢を崩さないので、あまり盛り上がらない感じである。どうも、装備はヨーロッパの最新のものを輸入している山岳会の方が優れていたようである。

さて、初登頂に関しては、これは映画を見てのお楽しみということあるが、その記念のものが重要文化財に指定され、立山博物館に展示されているとのことである。

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