中田監督の映画「怪談」の感想

中田秀夫監督のリンクというホラー映画は、米国でリメイクされるほどに人気になっていると聴いていたので、どのような映画なのか以前から興味を持っていた。その田中監督が三遊亭円朝の「真景累ヶ渕」を原作にした怪談を映画化したというので、好奇心から見に行った。

物語の舞台は江戸時代の後期、江戸と羽生村(現在の茨城県水海道市の一部)(累ヶ渕もこの近くか)で繰り広げられる親子二代にわたる因縁と、女の死を越えた情念を描いた作品である。亡霊が出てくるのでホラー小説と考えることができるが、男女の仲の機微、憎愛も深く描かれているので、ラブストーリと考えることもできる。映画の中でも濡れ場の場面もある。

江戸時代末期の日本人が考えた講談による語りのストリーをホラー映画で有名な中田監督がどのな映像でホラー映画に仕上げるか興味のあるところである。怪談の中にでは外国映画のようにグロテスクな特別な化け物は出てこない。物語に沿った常識的な映像の中で、音響と意外性などを使用して恐怖心を盛り上げていく手法はさすがである。

いろいろな女性から惚れられる尾上菊之助の煙草売りの新吉は妖艶で素晴らしい。女性が惚れていく行く姿に納得できる。また、惚れた男にのめり込んで行く黒木瞳の三味線の師匠・豊志賀や亡霊となって出れくる亡霊の冷たい美しさの表現も優れている。井上真央、麻生久美子、木村多江、瀬戸朝香など助演者の演技にも不満はない。

物語の内容はどろどろとして、見ていて決して楽しいものでなく、人の好みによるだろうが、私が一番惹かれたのはこの映画のシンプルな映像美である。米国の金に糸目を付けぬ映画を見慣れた現在人にとっては、この江戸時代を舞台にしたシンプルな映像は新鮮である。

最初に物語の発端となった事件を講談の語りと舞台回しのような映像で説明して行く出だしから映画の中に引かれて行く。雨や雪を使った表現、行灯の明かり照らされた室内、靄のかかった累ヶ渕の場面など映画の随所に日本の様式美が取り入れられ、感心させられた。

すでに世界40カ国で配給が決定しているとのこと、外国人がこの映画の日本的なストリーや映像美をどのように評価するか興味のあるところである。

スポンサーリンク
スポンサーサイト

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーサイト