映画クライマーズハイの感想

御巣鷹山日航機墜落事故の取材体験をまとめた横山秀夫の同名の小説を映画化した作品である。横山氏が地方新聞社に活躍していやだけに、新聞社内の取材活動、人間関係の描き方はリアルであり、この点では非常に面白かった。

映画を見る前は御巣鷹山日航機墜落事故が克明に描かれるのか思っていたが、映画は事件より、地方新聞社の人間関係を中心に描かれている。それと題名の「クライマーズ・ハイ」で分かるとおり、時折、谷川岳衝立岩への登山、それと主人公の家族との人間性の話が挿入される。どうも、二つの話の間には17年間程度の開きがあるようなのであるが、主演者が年を取らないので、注意して見ていないと時間的な感覚が分からなくなる。登山しながら回想しているとの位置づけになるのであろう。

遊軍記者である主人公(堤真一)が事件の全権ディスクに任命され、苦闘、決断する姿が描かれている。事件直後の新聞社の混乱とした描写は生なましい。次第に事件の全容が分かってくる緊張感。それと、携帯電話がなかった時代の取材活動であり、御巣鷹山に登っても連絡する手段がないのである。原稿締め切りの時間との戦い。地方新聞であるが、地元の事件であるという意地。それと、紙面の内容や締め切り時間をめぐる編集部と営業部や広告部との争い。など地方新聞社のどろどろとした人間関係が描かれている。

同じ社で何故、この様に仲が悪いのか疑問の点もあるが、どうも新聞社も編集部と営業部や広告部とは人種が異なるとの話もあり、また、編集部内でも記事への扱いについて争いがあるようである。小説の作者が勤務していたことを考えると案外正しいのかもしれない。各出演者は人間関係の個性をうまく表現していた。

クライマーズハイというのは登山の興奮状態が極限まで達し、高さへの恐怖心が麻痺してしまう現象のようである。日航機墜落事故の取材活動が丁度このハイ状態になっていたことを比喩しているのかもしれない。それの最も高揚した部分が、墜落事故の原因のスクープ情報を得て、その不確かな情報であるが、スクープ記事として、ハイのまま突っ走るか、裏が取れるまで思い留まるかの場面であろう。新聞社の報道姿勢というものが分かりも参考になった。

スポンサーリンク
スポンサーサイト

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーサイト