初のクラリネット発表会の顛末

70才でクラリネットを始めて2年、人生最初で最後になると思われる発表会にチャレンジした。発表会に出ることによって普段の練習では得られない経験をいろいろしたので、紹介する。

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参加する気になった動機

先生から発表会に出ませんかとのお誘いを受けた。まだ、一人で演奏する技量レベルでないが、ピアノの伴奏付きなら私の汚いクラリネットの音色やリズム感の悪いことがピアノの伴奏によって打ち消され、あまり目立たなくなるのでないかと思った。

幸い家族にはピアノが弾けるものが、家内、娘それと孫の三人いる。家内に打診してみたが、素っ気なく断られた。次に娘に相談してみると孫がその時期はコンクール等のスケジュールが全くないので、孫にやらせるとのことで快諾してくれた。これで、もし孫がだめでも娘が出てくれるだろうと思い、折角の機会だったので先生に参加することを表明した。年の離れた孫との競演なら絵になり、下手なクラリネットの演奏もあまり目立たなくなることを期待した。

候補曲の選曲

発表会では緊張して思うように演奏できないことが想定される。楽に演奏できる選曲が必要である。しかし、初心者でも演奏できる易しい楽譜を見つけるのが大変である。
先ずは本屋や楽器店で適当な楽譜がないか探した。ピアノ伴奏付きの楽譜はそれほど種類が多くない。本があっても私でも吹ける易しい楽譜がなかなか見つからない。楽譜探しは大変である。その中でピアノ伴奏付きのジブリの曲集の本を見つけた。曲集の中でなんとか吹ける曲が2~3曲あったので、ジブリの曲なら孫も喜ぶと思い先ずはこれを候補曲とした。

次にネットで無料の適当な楽譜がないか探す。無料のクラリネットの楽譜については私のブログのネットにある無料のクラリネットの楽譜でまとめている。その中の Free-Scores.comが目的にあった楽譜を探しやすかった。クラリネットとピアノの楽譜の中からバロックの分類でテンポが遅く演奏できそうな曲があったので、4曲を候補曲として選んだ。
これらの候補曲を持って娘のところに行き相談する。孫の意見を聞くと即座にアニメソングは嫌だと却下された。ネットから探した1曲も地味との意見で敬遠された。あとに残ったのはバッハの3曲。この中で娘は少しでも孫のピアノの練習になると思ったのか、一番ピアノ伴奏が難しいと思われる「羊は安らかに草を食み」を演奏してみて、気に入ったようである。孫は少し難色を示していたが、難しい箇所は適当に音をカットすればよいとして娘が押し切ってしまった。「羊」は私のお気に入りの曲でもあり、クラリネットの演奏も楽なことから不満はない。羊を最優先の候補曲と決めた。まあ少しでも孫のピアノの練習になればとの思いもあった。もし、孫の練習状況をみて難しそうなら他の曲に変える予定である。
2曲演奏すると決めていたので、あと1曲の選定が難しい。バッハの他の2曲はゆっくりした曲であるが、長く伸ばすところが正確な拍が数えられないので以外に難しい。少し練習したが、練習を聴いていた家内が伸ばすところが短すぎるとよく注意していた。結局、本番で演奏するのは無理と判断して、他の曲を探すことにした。
私は退職してからリコーダーを始めており、リコーダーの楽譜は多く持っている。これらの楽譜の中には易しい曲が多く載っている。この中で、ピアノ伴奏付きのアルトリコーダー二重奏の楽譜が中からハイドン作曲の「聖アントニウスのコラール」を選曲した。この曲は名曲であるとともにクラリネットの練習で先生と二重奏してもらった時、楽に吹けたので候補としたものである。
このようにして、最終的にはハイドンの「聖アントニウスのコラール」とバッハの「羊は安らかに草を食み」(最初のアリアの部分まで)を演奏曲とした。この曲の内容については最後に紹介する。

コラールの落とし穴

ただし、易しいと思っていたコラールには落とし穴があった。
アルトリコーダ用に編曲された二重奏の楽譜はクラリネットだけで演奏している範囲では問題ないが、ピアノの伴奏と合わせるとなるとクラリネットは移調楽器であり、どちらかのパートを移調する必要が出てきた。ピアノパートを移調するのは楽譜を作成するのも大変だし、孫に作成した楽譜を演奏させるのも申し訳ないと思い、クラリネットのメロディーパートを移調することにした。
移調作業は簡単である。楽譜作成ソフト「SibeliusFirst」を持っているので、リコーダー用のパートを「First」に打ち込み、楽器をクラリネット♭Bに変えて移調のボタンを押せば、自動的に移調された楽譜が作成される。
元の楽譜はハ長調で書かれているので、易しいが、移調された楽譜は♯が二つ付いたニ長調の楽譜なった。さっそく移調した楽譜で家内のピアノ伴奏と合わせてみたが、上手くピアノ伴奏と調和したので楽譜そのものは問題なさそうである。

しかし、これで演奏してみると「ラ、シ、ラ、ラ」と「シ、♯ド、シ、シ」と難しい指使いの部分が出てきた。ラ→シの部分はシがどうしても鳴り難いのである。指の動きを少なくするため、ラを吹くときに予め右手もセットしておき、動かす指をできるだけ少なくしたが、それでも、曲全体を演奏して、その箇所にくると鳴らないのである。その箇所だけ部分練習すると鳴るので不思議である。その後、練習を重ねるにつけ鳴る確率は高くなったが、本番では少し緊張したのであろうか、結局鳴らなかった。残念。

シ→♯ドの部分はシを左で押さえると♯ドは右手で押さえることになる。今までの練習では♯ドも殆ど左で押さえていたので、新たな指使いを練習する必要が出てきた。これも予め意識して吹くと問題ないが、曲を演奏中に楽譜を見て、押さえる指が左右どちらかであるか少しでも迷うとパニックになり、演奏が乱れる。しかし、この部分は本番では特に注意したので、迷わず正しく演奏できた。

マウスピースとリードの選定

私はM15、5RV、B45の三つのマウスピースを持っているが、この中から音色などより吹くのが一番楽なM15がよいだろうと思い、これを基準にしてリードを選別した。
先ずは手持ちのすべてリードについてマウスピースM15を付けて吹奏感を確かめた。鳴り難くいリードはカット。また、柔ら過ぎるリードも音が裏返ったり、リードミスの原因になるだろうと思い敬遠した。
次に残ったリードについて、何回もコラールと羊を演奏して吹奏感を確かめた。演奏中にリードミスが出たリードや裏返りやすいリードは内容を判断しながら候補から外した。
最後は演奏会当日の使用環境を想定して、朝に水に付け一旦ケースに収め、午後の発表時間前後に合わせて練習を行い鳴り具合を確かめた。
最終的には良さそうなリードを4~5枚選別した。

当日の同じ状況での練習

本番はピアノの側に立って演奏することになるが、椅子に座って吹くのと、立って吹くのでは、吹奏感が異なるとの先生のアドバイスに基づき、ある時期から立って練習するようにした。練習では大きな違いはないように思うが、立って吹くと若干あがりやすいような気がした。
孫のピアノと合わせる練習は孫が離れて暮らしていることと、孫が発表曲を弾きこさせるようになるまで時間がかかることから、最初は、クラリネットで無理なく吹けるテンポを設定して、孫にそのテンポで練習するように連絡した。実際に孫と合わせられるようになったのは発表会の3週間前の時期である。

コラールはクラリネットのメロディとピアノ伴奏のリズムが同じでるので、合わせ易い。発表会直前でも問題ないと思われる。

しかし、羊はバッハの特徴であるクラリネットとピアノがそれぞれ独自のメロディを演奏をするような感じなので、合わせるのが難しい。ピアノ伴奏だけを聴いても、どの部分を演奏しているのか分らない。演奏している途中で拍が狂えばがリカバーするのが大変であると思われる。このため、ピアノの楽譜をFirstに打ちこみパソコンで演奏させ、これをCDに焼付けピアノとクラリネットの重なり具合を覚えた。
少し慣れた頃、家内にピアノで伴奏してもらい合わせてみた。クラリネットにミスが出ないと問題なく合わせられるが、途中、何かの拍子で少しでもつまずくと、ピアノ伴奏がどこを弾いているのか分らなくなり、慌ててしまい演奏はめちゃめちゃになる。このため、音は出なくてもリズムだけは外さないように、途中で止まることなく演奏し続けるに練習した。孫とも、クラリネットとピアノが相手の演奏しているところを探り出すと音楽が止まってしまうので、相手が間違ってもそのまま演奏を続け、間違った方が修正して合わせるとのルールにした。ベテランの伴奏者になれば、ピアノがクラリネットの演奏に合わせてくれるのでないかと思うが、この当たりがまだ経験を積んでいない孫との合奏の難しさである。

演奏会当日

発表時間の30分前に行って本番と同じ状態でリハーサルを行う。譜面台の置く場所と高さ。会場の音響効果などを確認する。会場が狭いこともあり、先生からは音量が大きいので、あまり頑張って吹く必要はないとのアドバイスを頂く。クラリネットは思っていたより大きな音がでるようである。
控え室で他のリードの鳴り具合を確認したかったが、防音が考慮されていない部屋なので、吹くと音が反響し過ぎて鳴り具合を確認するどころの話でなく諦めた。結局、先生の提案でリハーサルで吹いたリードを使うことにした。
発表時間の10分前頃に控え室に入り用意する。先ずは使用するリードを先生の指示で5分ほど水につける。それから演奏時間の5分ほど前に舞台のエプロンで待機する。リードは予めクラリネットにセットすることもできるが、敢えて口に咥えたままにした。
いよいよ演奏時間になり舞台に出る。会場は暗いので殆ど見えない。挨拶したあと、ピアノに向かいリードをセットする。この行為も先生から演奏のマナとして許されると聞いていたので、演奏前に少し舞台で時間をつぶすと落ち着くだろうとの判断から行ったことである。
また、演奏前にどの程度の強さで吹けば音が出るかを感覚的に知っておきたかったので、出だし付近の音を出してみる。譜面台がライトに照らされ明るく、反対に観客席は暗いので、全く見えない。そのためか特にあがるような意識はなかった。

最初のコラールはピアノとクラリネットが同時に演奏し出すが、事前にクラリネットが息を吸って、クラリネットの先端を下げたところで演奏を開始すると孫と打ち合わせていた。
特にあがったとの感覚はなかったが、少しは緊張していたのであろうか、演奏は指がもつれたり、音が鳴らないなど数箇所ミスがあった。孫の演奏も繰り返しを忘れるなど少しミスが出ていた。しかし、事前に演奏を中断しないと決めていたので、直ぐリカバリーしてどんどん演奏を進め、無事止まることなく最後まで演奏できた。
満足できる演奏ではなかったが、70才過ぎの初心者の演奏にしては90点ぐらいの出来で合格の部類に入るのでないかと思う。今後はもう少しクラリネットらしい音色で演奏できればよいのだが。まあ、これを目標にして頑張る。

曲の紹介

初心者が演奏した曲ではあるが、テンポが遅いだけで二つとも名曲として知られている。YOUTUBEの中から興味ある演奏をピックアップした。

バッハ作曲「羊は安らかに草を食み」

原曲はバッハ作曲の世俗カンタータ「楽しき狩こそわが悦び」通称「狩のカンタータ」BWV208の中の第9曲目アリア「羊は安らかに草を食み」である。この曲はNHK-FMあさのバロックのオープニング曲に編曲されたので日本では特に有名であるとのことである。
原曲はリコーダーとソプラノそれと通奏低音のシンプルな構成である。リコーダが担当するオブリガートとアリアの競演が素晴らしい。今回の演奏ではアリアの部分をクラリネットが演奏。

原曲はカンタータであるため、日本では殆どない演奏されないが、こころに残る名曲であるため、様々な形式に編曲されている。特に通奏低音の部分の楽譜はベース音が記述されているだけで、和音が自由に付けられるので、編曲の幅は広く、様々な楽器構成の編曲がある。中にはクラリネットの四重奏としても市販されている楽譜もある。
ブラバンに編曲した演奏を見つけたので紹介する。この演奏ではアリアのメロディはクラリネットが演奏しているようである。

また、ペトリがピアノソロ用に編曲したのが注目され、現在では多くのピアニストが演奏している。その中で評判の高いLeon Fleisherの演奏。

ハイドン作曲「聖アントニウスのコラール」

原曲はハイドン作曲のディヴェルティメント「聖アントニウスのコラール」の第2楽章。原曲そのものはあまり有名でないが、この曲をブラームスが「ハイドンの主題による変奏曲」として活用したため、非常に有名な曲になっている。変奏曲で最初に演奏される主題部分がハイドンの曲そのものである。ブラームスの曲の中でも特に人気がある作品でるようだ。特に主題部分が印象に残り、多くのクラシックフアンから愛されている。
原曲に一番近いと思われる楽器構成の演奏から。

ブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」は多くの交響楽団が演奏しているが、その中の一つの演奏。主旋律はオーボエが担当している。

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