第2回ジャック・ランスロ国際クラリネットコンクールの感想

8月に第2回ジャック・ランスロ国際クラリネットコンクールが横須賀芸術劇場で開催された。いろいろとコンクールも聴きに行ったが、これほどレベルの高いコンクールは初めてである。審査員もコンクールの参加者も国際的で、真に国際コンクールと言える内容であつた。クラリネット音楽とはどの様なものなのか、レベルの国際コンクールはどの様なものなのかを知りたく2日間ほど聴きに行った。記録を残す意味も含めて感想を記載する。

国際クラリネットコンクール

国際クラリネットコンクール

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コンクールについて

ジャック・ランスロについて

ジャック・ランスロ(Jacques Lancelot)はフランスの著名なクラリネット奏者、教育者である。日本にも教え子として浜中浩一(故人)や横川晴児、二宮和子がいる。ランスロの著作のクラリネットのテキストも数種類発売されている。

日程と会場

・日 程:2014年8月25日(月)~31日(日)
・場 所:横須賀芸術劇場

審査員

名誉審査委員長 浜中 浩一(2013年11月に肺炎のため死去されているため名誉審査員の位置付け)
審査委員長 ミシェル・アリニョン(フランス)
審査委員

  • 大島 文子(日本、アメリカ在住)
  • 四戸 世紀(日本)
  • 武田 忠善(日本)
  • フィリップ・ベロー(フランス)
  • ジェリー・チェ(韓国)
  • ウィリアム・チェン(台湾)
  • フィリップ・キュペール(フランス)
  • クロード・フォーコンプレ(フランス)
  • ユアン・ユアン(中国)

第一次予選

予備審査が録音CDで行われ、第1次審査に臨んだのは109名であった。内6名は出演を取り止めている。この人達は顔写真入りの立派なパンプレットとが作られ、如何にも金を掛けた感じである。
出場者を国別に見ると日本58名、韓国17名、中国7名、台湾4名とアジアの国からの出場者が多い。アジア以外ではアメリカ6名、スペイン5名、フランス2名、ファインランド、ロシア、ハンガリー、ベルギー各1名である。クラリネットの先生のパンフレットを見てもらったところ知っている人もいるとのこと、コンクールの常連の顔ぶれもいるようである。
第1次審査は(1)と(2)を演奏。
(1) X.ルフェーブル:ソナタ12番変ホ長調第1楽章
(2) 下記より1曲選択

  • P.ブーレーズ :ドメーヌ
  • E.デニゾフ :ソナタ
  • F.ドナトニ :クレール
  • E.カーター :遊戯
  • D.マルティノ :クラリネットのための集合体
  • J.ヴィッドマン:ファンタジー

演奏時間は約10分程度である。(2)はどれも現在音楽のように素人目には非常に技巧を必要とするような曲である。このような曲でその人の基礎的な技量を判断するのであろう。クラシック音楽に馴染んだ者にとっては音楽的な評価は難しいが、見ていて、聴いていて面白い。中には譜面台を5台ほど並べ、順番に見ながら吹くような曲もある。最初は何故譜面台を多く並べるのか疑問であったが、曲にそのように指示されているようだ。

広い会場で聴いていた聴衆の数は正確には分らないが、100人強程度ないだろうか。審査員は会場のど真ん中で聴いておられた。審査員同士で話しておられるようなところもあり、他のコンクールと少し違いを感じた。拍手することは禁止されていなかった。途中で時間を打ち切るようなことは殆どなかった。

横須賀芸術劇場の広いロビーには出番を待つコンクールの出場者なのか、友達なのか若い人達が多くくつろいでいた。国際コンクールだけあって、外国人が多い。

第二次予選

第二次予選に進んだのは21名、何故か名簿の後半に記載されていた人が多かった。

第二次予選の演奏曲は以下の(1)~(3)通りである、
(1) C.ドビュッシー:第一狂詩曲(暗譜)
(2)J.フランセ:主題と変奏より Tema , Var.4 Adagio, Cadenza ,Var.6 Prestissimo
I.ストラヴィンスキー:3つの小品(全曲)
(3) 自由曲

演奏時間合計30分以内。(1)~(3)の演奏順は自由である。(1)は暗譜と指示されているが、中には3曲とも暗譜して吹く人がいる。韓国の人の多かったようきがする。やはり暗譜して来ると熱心さが違うように感じ、好印象をあたえるのでないだろうか。

第1次予選のように現代音楽のようなものはなく、我々が普段親しんでいるような曲に近い。ただし、知っている曲はなく、素人には演奏の評価は難しい。

ファイナル

ファイナルに進んだのは5名。日本2名、フランス2名、ロシア1名の割合である。日本人の田中さん、鶴山さんもヨーロッパで留学されているので、実質、ヨーロッパ、特にフランスで学んだ人が強いとの印象である。ドイツはクラリネットでも楽器が異なるので、このコンクールには参加しないのであろう。
コンクールの趣旨にも「高い音楽表現と近代フランス音楽文化の継承に評価基準を置いて審査」と記載されているので、クラリネットもベームシステムのクラリネットを使用することを想定しているのであろう。
曲目は以下の2曲である。この中でクラリネット協奏曲は東京フィルハーモニー交響楽団の伴奏付きである。クラリネット奏者が交響楽団の伴奏付きで演奏する機会は有名にならなければ先ず無理と思われるので、ここで演奏できるというだけで非常に強い憧れになるのでないだろうか。

W.A.モーツァルト:クラリネット協奏曲イ長調K.622(暗譜)
「音取二抄 クラリネット独奏のために」山本純ノ介作曲

結 果

1位 : ピエール・ゲニソン
2位 : 田中香織
3位 : ミハイル・メリング

浜中浩一賞 : フランク・ルッソ
横須賀賞 : ピエール・ゲニソン

横須賀賞については第1次予選、2次予選と演奏を聴きにいった人の投票権があり、2回投票したが、本選に5名しか出場できないととなると、その5名に投票が集中して、それ以外の投票は殆ど関係ないという状態になる。

主催者のfacebookに写真入りの記録があります。

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